司法試験受験生と万年筆

すっかり万年筆に詳しくなってしまった。

新司法試験の論文試験は、4時間です。そのうち考える時間を除くと、約3時間もの間集中して書き続けなければならないわけで、これは相当体力と指の力を消耗します。
特に、僕のように元々筆圧の強い人間にとっては、指の痛さがシャレにならなくなります。
そこで非常に役に立つのが、万年筆です。
最初に万年筆に興味を持ったのは、司法試験受験生でブログを読む人なら知らぬ者はいない、sunさん(平成20年度合格者、総合順位全国2位)が使っていたと知ったからです。
http://yaruze08.seesaa.net/

万年筆はすごいです。
これを使うようになって、指の痛さは半減し(筆圧をかけなくて済むので)、書くスピードもずっと速くなりました。

ただ、万年筆は若干敷居が高くて、手入れが大変だの、慣れるまでが大変だの聞いてそっぽを向いてしまう人が多いと思います。
でも、実際にはそんな難しくないです。
てことで、勉強からの現実逃避を兼ねて、司法試験受験生のための万年筆紹介、を書いてみたいと思います。


司法試験受験生のための万年筆紹介


第1.万年筆の良いところ
まず、万年筆の良いところは、何よりも、筆圧をかけないでも太く濃い字が書けるところです。また、良い万年筆ほど滑りが良くなるので、書くスピードが上がります
分かりやすいように言うと、ボールペンには油性ペン(ドクターグリップとか、ジェットストリームとか)と水性ペン(signoとかsarasaとか)がありますよね。
両者の特徴を挙げると、油性ペンは「滑りが良いので書きやすいけど、筆圧を書けないと濃い字にならず、たまにネッチョリする」、水性ペンが
「筆圧をかけなくても濃い字を書ける(正確には、筆圧をかけようがかけまいが字が変わらない)けど、ペン先が固くて疲れる(signo)、たまにかすれる(sarasa)」
って感じだと思います(僕の主観)。

これに対して、万年筆は↑の長所を併せ持ったものだと考えてもらっていいと思います。


第2.万年筆の種類
1.
次に、万年筆には2種類あります。ペン先が「鉄」か「金」かです。
鉄には鉄の、金には金の良さがあります。
でも、司法試験のような、長時間筆記により向いているのは「金」です。金の方が、柔らかく、滑りが良いからです。
(鉄でも、ボールペンに比べればずっと良いです)
鉄か金か、これ以外の違いは、最初は気にしなくていいです。
「○○社のものは重心が他のより・・」みたいな会話は、マニアの人に任せましょう。
ペン先が金なら、1万円だろうと5万円だろうと100万円だろうと、あんま変わんないです。多分。


2.
ただしペン先が金の万年筆のデメリットは、なんと言っても値段が高いことです。
国産の万年筆なら1万円以上、海外メーカのものなら2〜3万円出さないとペン先が金になりません。
でも、金のペン先の万年筆の書きやすさは、一度体験すると、たまらないものがあります。
これに慣れてしまうと、よく今までボールペンで論文書けたな?と思います。
司法試験受験生にとって、筆記具はお金をかけるべきところだと思います。
基本書一冊3000円、判例六法だって2600円。予備校の答練なんて、1回につき1万オーバーです。
そういうところにお金をかけるんだから、勉強のパートナーとして、高い買い物をするのもアリだと思います。


3.
・・とはいえ、いきなり1万円は無いわバイバイ万年筆、と言われると寂しいので、とりあえず安く、かつ万年筆ならではが味わいたいという方には、ペリカーノジュニアとかがお勧めです。
http://www.sumi-ri.com/pelikanpelikano.htm
これなら、近くのデパートや大きめの文房具店で売っていると思います。
鉄とはいえ、ボールペンに比べれば遙かにすらすら書けると思います(金のは、もっとすらすら書けるということです)。


4.
また、国産メーカの万年筆と海外メーカの万年筆の間にもちょっとした違いがあって、国産万年筆の方が、画数の多い漢字に合わせて、海外のものよりも一般に細くなっています。
まあここらへんはお店の人に聞きましょう。
個人的には、海外のものよりも安い値段で質の良い金ペンを作ってる日本の万年筆は、もっと人気があって良いのでは、と思います。



第3.万年筆の入手方法
万年筆を使い始めてみようとする人がまず知っておくべきことは、「万年筆は個体差が激しい」という事実です。
これは確かにそうで、書きにくい万年筆は本当に書きにくくて、使えたもんじゃないです。
だから、万年筆を買ううえで最も重要な点は、「試し書きをさせてもらえるお店で買うこと」です。
(ただし、値段が安ければ安いほど、例えば上で紹介したペリカーノジュニア等は、ふつう試し書きさせてもらえません。)
僕が勝手に分類した入手方法は、以下の3つです。


1.専門店で買う
2.百貨店で買う
3.通販で買う


上の3つのうち、初心者の方は「3.通販で買う」は避けたほうがよいというのは、すぐわかってもらえると思います。
当然、試し書きをさせてもらえないからです。
通販は安いです。定価の3〜4割で買えちゃいます。でもそれで書きづらいのが届いちゃ意味無いです。


僕のお薦めは、やはり万年筆の専門店で買うことです。
専門店については、東京にあるお店で言うと、有名かつ僕が知っているところで紹介すると以下の3つがあります。



・フルハルター@大井町
http://members.jcom.home.ne.jp/fullhalter/

ここは、店主の森山さんという方が、お客さん一人一人の癖に見合った「調整」をしてくれます。
自分に合わせたオンリーワンを作ってもらえるので、書きやすいのは間違いないと思います。
その分、購入してから自分の手に届くまでは、短くて2週間、長くて数ヶ月ほどかかるようです。これがデメリットと言えばデメリット。
「勉強しなきゃなんだから、筆記具を選ぶ段階でそんなに時間かけたくない」という人には不向きかも知れません。


書斎館@表参道
http://www.shosaikan.co.jp/
表参道にあるオシャレなお店。
品揃えも豊富なので、ここに行けばデザイン的にもお気に入りが見つかると思います。
店員さんは女性が多く(というか、全員?)、豊富な知識で懇切丁寧に応対してくれます。
僕も行ったことがありますが、本当に丁寧で、押しつけがましくもなく居心地も良いです。
たくさんの万年筆のなかから、自主的にゆっくりと選びたい人はここがおすすめ。
ここの万年筆は調整はされていませんが、いくらでも試し書きをさせてもらえるため、自分が書きやすいなと思ったのを買えばいいだけなので問題無いです。


・ダイヤストアー(アメヤ横丁)@上野
http://www.guidenet.jp/shop/095r/
アメ横には、他にも有名な万年筆のお店があるようですが、僕が行ったことあるのはここだけなので、ここを紹介。
親しみやすい万年筆おばちゃんが快活に応対してくれます。
ここの良いところは、なんと言っても価格の安さ。どの万年筆も、たいてい定価の3〜4割引きで売ってます。
しかも試し書きをいくらでもさせてくれます。
ただし、国産の万年筆は扱ってません(つまり、ペン先金を買おうと思ったら、元々が少々高い?)。


そんな感じです。
あ、もちろんですが、上で紹介したのは、ここで買えば安心ということであって、他にも最寄りの百貨店等の売り場で、信頼できる店員さんがいるようなところでなら、そこで買うのも全然アリだと思います。
ただし、くどいようですが、試し書きさせてくれないところで買うのはやめましょう。


第4.まとめ
論文試験の時に、万年筆を使うと、疲れにくくなり、書くスピードが速くなります。
万年筆を手に入れるには、必ず試し書きをさせてもらえるお店で買いましょう。
できれば、ペン先は金が良いですが、鉄でもボールペンに比べれば書きやすいです。
値段が高けりゃいいってもんじゃないです、自分にとって書きやすいのを買いましょう。あとは、デザインを好みで選びましょう。


第5.補足
そうは言っても、たくさんありすぎて、結局どの万年筆を選べばよいのか分からないという人は、以下の記事が参考になるかもしれません。
http://www.p-n-m.net/column/column13.html
神戸の万年筆専門店の店主さんが、「司法試験と万年筆」というドンピシャなタイトルでコラムを書いてくれています。
ただ、顔料インクを使うことを前提に紹介してくれているみたいなのですが、僕の実経験上、ふつうの染料インクでも論文書いてて問題無いです。
本試験の解答用紙では滲むなんてことがあるのかな・・それは無いと期待してます。


以上です。



思ったより時間かけてしまった・・!
何か修正点とか改善点とかあれば、指摘していただけると嬉しいです。