過去問 平成19年度刑事法

自分で書いた後、辰巳の『ぶんせき』本を参照した。
まず思ったことは、超上位答案の分析はもちろんだけど、中位答案の分析もすごく勉強になるな、と。
刑訴で言えば、500番台の答案は、20番台のと比べると、確かに法解釈の理由付けや問題提起が甘い。
そういうとこをきちっとしていこう。


第一問(刑法)
1.内容
共犯からの離脱そのものはもう大丈夫。
しかし、20万円と100万円の交付2回あることの処理で思考停止してしまった。
20万円の交付を受けた時点でもまだまだ残額を恐喝する意思があったのだから、一つの恐喝罪が続いているだろうと考えて、あれそれじゃあ一回目にもらった20万円についてはどう考えりゃいいんだ?
っていうか200万円受け取るつもりで120万円しか受け取れなかったのってどう評価すればいいんだっけ?目的達成できていないから未遂?いやいや120万円分は既遂だろう?
という思考過程。もう基本がなってないことが丸わかり。悲しい。
合格者答案を読んだ感じでは、やはり交付行為という結果が2つある以上は格別に項目立てて論じて、あとは罪数処理で解決すべきだった様子。
勉強になりますm(_ _)m
やっぱ、成立が問題となる犯罪ごとのナンバリングではなく、結果ごとのナンバリングの方がよさそう。


・未遂が成立するのは「実行に着手」したとき=結果発生の具体的危険が生じたとき。
それはいいけど、各罪についてどの程度に至ったらそのような具体的危険が生じたと言えるのか?のチェックが自分は甘いことを知った。
「レジに向かい始めた時」しか浮かばない勉強不足。


・権利行使と恐喝罪について、当該権利行使が権利の範囲内でかつ社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度に、恐喝罪の成立を否定する根拠は、違法性阻却なのね。
その場合は恐喝罪に言う「財物」に当たらないとかだと勘違いしてた( ´Д`)


2.答案の書き方
甲と乙の罪責の順序について、実行正犯から論じるのが鉄則なのは知っていたけど、結論部分で共犯関係について論じないまま「恐喝罪の共同正犯が成立する」と言っちゃっていいのか?と思っていたけど、どうやら良い様子。10位の答案もそうなってる。


第二問(刑訴法)
設問1のビデオ撮影の適法性については、最近自習したばかりだったので、割とできた。
設問2の同種前科の立証については、結論しか覚えていなかったから、いまいちな答案になってしまった。
まずもっと理由付けを意識した勉強をしなきゃだし、もし知らなくてもそれっぽい理由付けをでっち上げることができる癖をつけよう。


・合格者答案(20番台)では、第一段階(「強制処分か任意手段か」)の当てはめ部分で、『対象者の承諾が無いこと』=「個人の意思を制圧していない」、と当てはめているけど、そんなんでいいのか??
ここは写真撮影事案でいつも迷っていた部分。
「重大な権利の制約か」の方は、『屋内と違って公道だから』とか言ってすぐに当てはめられたんだけど。


・何故特殊な手口の同種前科の立証は例外として許されるかというと、二重推定を経ない故誤判の危険が少ないから。

それにしても、本当に難しすぎる知識や論理は必要無いんだな。
『事例から刑法を考える』の小林解説の難しい部分はやはりパスしよう。既にしてたけど。



以下ヒアリングの内容とコメント。
「日本語作文の基本」
たんぶん と 主語述語の一致ね。

「事案分析というのは、基になる法解釈ができていないと絶対に出来るはずはない」
これは本当にそう思った。
論点知識が豊富であればあるほど、法解釈がきっちりできていればいるほど、事実の意味づけもできる。

「よくここまで考えた、よくここまで事案を分析した」
高得点を狙うには、ここまで求められている。
といっても、それは細かい知識という意味ではなく、あくまで問題文の事実をどう考えるべきか。


勉強になりました。